網走山岳会 / Abashiri Alpine Club

*

ラサウヌプリ・陸志別川左俣支流

      2015/11/28

知床半島羅臼側の基部寄りにある陸志別川の支流へ。1年前に仕事で支流の入口まで行ったことがあって、その時は装備も不十分だったので見て帰ってきただけだった。岩壁がギリギリまで迫ってまるでビルとビルの谷間みたいな、山にスリットを入れたような渓相が印象に残り、(こりゃ来夏行くしかねえ)と実際行ったのが今回です。本流を下降したら思いのほか切り立ってて、この辺の支流は巡ったら面白いところ沢山ありそうな……。

  • 2014年8月16・17日(2日間)
  • メンバー: 内田、高橋(記録)
  • 行程: 【1日目】08:30林道終点 – 08:40入渓 – 12:00遡行開始 – 16:00支流分岐の少し先で幕営 【2日目】06:30支流入渓 – 08:30源頭・藪こぎ開始 – 10:30下山開始 – 12:00沢型 – 14:30 25m大滝 – 15:50 CS滝 – 16:10昨日のテン場通過 – 18:30林道終点

寝坊したり道間違えたりで8:30、ようやく林道終点に駐車。地形図上はまだ林道が続いているが、実際は笹が被っている。ならばいっそ、と真っ直ぐ沢に向かって藪を漕ぎ、入渓。 入渓と同時に竿を出す。1日目はほぼ水平移動のみの半日行程で、核心の連瀑帯の前で泊まろうと考えていた。故にゆっくり釣りを楽しむ余裕がある。加えて今回、夕食は酒・米・調味料しか持ってきていないため、充実の宴会となるかは、この釣果にかかっている。

上流ほど魚影が濃い

上流ほど魚影が濃い

できるだけ型のいいオショロコマを選んで10匹程釣り、捌いて塩糠にうずめ、竿をたたんで12時。いざ遡行開始(遅い)。幾つかの小さな滝を越え、釜をへつる。時折出てくるナメ。標高は上がらず、難所もない。楽しい沢歩きである。と調子こいてたら思いっきり道を間違え、1時間ロスした(内田さんすみません)。明日登る支流の入口を少し過ぎた辺りに幕営適地を見つけた。タープを張り、焚火を熾して魚を焼き、ビールとワインで乾杯する。

翌朝6:30出発。幕営地からくだること十数秒、支流入口である4m程の枯れ滝に到着。ここからが今回のメインディッシュとなる。枯れ滝の先は、左右に岩肌が迫る幅一畳ほどの狭い谷で、流木やガレが溜まっている。ビルに挟まれた路地裏のようだ。5~7m程の滝が3つ4つ続いて現れるが、いずれも広いクラックが走っており、これを利用して登る。軽荷で登りたかったのでギリギリまで水はとらず、枯れる直前の水たまりで汲む。

側壁が迫る支流を登る

側壁が迫る支流を登る

最後はスラブ滝3段12m。滝は3段目で傾斜が急になり、細かいスタンスを探して登る。これを越えると沢型は左右から藪に覆われてガレの詰めとなる。途中ロープを出した方が安心できる箇所も幾つかあったが、「自分が登れる程度の滝であれば、ウォールで鍛えてる内田さんが登れない筈はない」ということで、結局ロープの出番は無いまま8:30、源頭に至る。

スラブ滝を越えて振り返ると朝霧が煙る(たのしい)

スラブ滝を越えて振り返ると朝霧が煙る(たのしい)

ここからは笹とカンバの藪こぎで、稜線に向かうにつれ、知床名物ハイマツのジャングルジムが現れる。今回のゴールは可能ならばラサウの牙、もしくはラサウヌプリ山頂(1019m)と考えていたが、時間的に難しいと判断して、ピーク手前で10:30下山開始。一番気になっていた狭い谷の先がどうなっているのか見ることができたので良しとする。近いうちもう一度来よう。 藪を引き返し、登ってきた谷の本流へ続く沢型へ降りる……筈がまた道を間違え、全然違う斜面へ降りてしまう(内田さんすみません)。尾根まで登り返し、気を取り直して本来降りるべき谷筋へ。左へ左へと進み、12:00、藪が切れ源頭へ降り立つ。本流へ北側から注ぐ、支流の源頭だった。

本流最上部の5mクラック滝

本流最上部の5mクラック滝

本流に出て間もなく滝が現れる。本流最上部の滝は、苔むし枯れたフィストサイズのクラック滝5mである。ケツに似ている。その後も5〜6m程のワイドクラックめいた滝が3つ4つ現れ、いずれもクライムダウンで抜ける。標高を下げるにつれ、クラックの幅は徐々に広がっていく。やがてハングした滝が現れ、クライムダウンは厳しいので懸垂下降を、と思ったが周りに立ち木はない。ハーケンはまだ温存したいので、少し登り返して左岸の草付きを巻き下り、比較的太めなダケカンバを支点にして沢へ戻る。

クライムダウンできる小滝が多い

クライムダウンできる小滝が多い

そこから滝を一つ降りるも、次の滝がまたもやハングしている上に、結構な高さがあるらしく、下が見えない。側壁も立っていて、巻いて降りるにも楽ではなさそうだ。ハーケンを打って下降してはどうか、等々色々相談し試すが、結局可能な限り巻いて標高を下げ、ロープが確実に沢床へ届く位置からラッペルすることにする。時刻は14:30を周り、もうあまり余裕はない。

下からだと結構登れそうな気がしてくる25m大滝

下からだと結構登れそうな気がしてくる25m大滝

滝を一つ登り返し、左岸を灌木を頼りに巻き降りるが、降りるにつれ傾斜が急になり「これそのうち垂直になるのでは」と思っていたら、実際途中でガケとなって切れ落ちた。その地点からもやはり沢床は見えず、ロープの長さが足りるか不安だったが、試しに投げたロープを引き上げると水に濡れて帰ってきたので、とりあえず下までは届いていると判断。藪の向こうに支流の枯れ沢が見えたため、足場が良いそこまで移動し、細いダケカンバを捨て縄で数本束ねて支点とする。空中懸垂20mで大滝左岸のスラブに降りられた。テンションがおかしくなった内田さんが雄叫びをあげまくっていて、笑った。わかります。

U田さんのテンションがおかしくなってきた

内田さんのテンションがおかしくなってきた

さらに1つ2つ、5m前後の滝を降りると、チョックストーンの下がえぐれたハング滝5mが現れる。高さはそうでもないが、クライムダウンはできそうにないのでロープを出す。沢床の土砂に埋もれた木が丈夫だったので、これに捨て縄を巻きつけ支点とし、下降した。入山前に「チョックストーンから先の記録がない」と聞いていたはこのCS滝のことか。登るとしたらショルダーからのアブミで突破だろうか。アプローチのゆるふわ沢歩きに比較して、CSから先のクラック連瀑を思うと、まるでこの谷の門番である。「CSを越えられぬ者、この先立入るべからず」とでも言うかのような……。

門番めいたCS滝

門番めいたCS滝

16:10、昨日のテン場に帰着。下山を急ぐ。ほぼ水平移動のみで早いとはいえ、車に着いたのは18:30。盆を過ぎて日が短くなり始めた沢は、薄闇に秋の気配が漂っていた。

 - 沢登り, 知床半島