イダシュベツ川左俣(2017年8月会山行)
2017/08/17
「沢が初めて」という会員に向けて催された8月会山行。昨年は人が集まらず流れましたが、今年は7名の参加者を得て、晴れて催行となりました。行き先は知床半島ウトロ側中央部地域にあるイダシュベツ川左俣。「アクセスが良く行程短め、難所はなく、かつ滝・釜・ナメと一通り揃っていて、そして詰めた先がすごい綺麗」という、起承転結が素晴らしい、沢初めてならこれドハマリ間違い無し(と個人的に思う)沢です。
- 2017年8月5・6日(1泊2日)
- メンバー:高橋、山本、鷲頭、大越、豊田、谷口、吉川(7名)
- 記録: 高橋
【1日目】8:40発バス・知床自然センター→9:10知床五湖9:10→10:00イダシュベツ橋→10:10イダシュベツ川入渓→11:00F1(2s10m)釣り12:35→巻き→13:00落ち口→13:05小釜→14:30C1
【2日目】4:00起床→6:00飯→7:40C1発→8:25ナメ滝連瀑→8:30吉川釜飛び込み→9:00F2(1s8m)9:40→12:50グラウンド→C1329峰南西沢→14:00南岳西登山道→15:00オッカバケ岳P→16:05サシルイ岳P→17:05三ツ峰コル→17:25羅臼平→20:10岩尾別登山口
知床自然センターに駐車し、始発のバス8:40発に乗ってまずは知床五湖へ。入渓点となるイタシベツ橋で途中下車できると聞いていたが、そう甘くはなかった(バス停ではないので当然といえば当然である)。知床五湖で下車し、そこから小一時間歩いてイダシュベツ川へ。沢装備を身につけ10時頃入渓。
知床は鉱泉が混じる沢以外は総じてヌメリが酷いが、このイダシュベツ川もご多分にもれずヌメるし滑る。転んでずぶ濡れになり、早速沢の洗礼を受ける。そして一度濡れてしまえばもはやどうでもよくなるのが人の心理……。
1時間ほど水と戯れ歩き慣れた頃、F1に到着。今夜の食卓に一品添えるべく、魚止めの滝壺でオショロコマを釣る。10匹ほど釣ったところで納竿。左岸から笹を頼りに巻き上がり、滝上へ。その後は小釜や深瀬でワーキャー遊びながら進んでいく。複数人でやんや登るのすげー楽しい……と普段一人か二人が多いのでしみじみ思う。
C510m付近の二股で沢は一旦開け、ここを今夜の泊地とした。周囲に平場は少なく快適とはいえない。今夜は絶対降らないと踏んで、流れのすぐ横の小さな砂利河原に陣取った。大越さん作の磯辺餅を食べつつ野営準備、7人もいると薪集めも早い早い。焚き火に火をつけ、沢に沈めておいたビールで乾杯する。
もはやこの瞬間のために登っていると言っても過言ではない。火を囲み、釣ったオショロコマやら餃子やらを肴に盛り上がる。鷲頭さんが持ってきた菊水1L缶が乾いた体と脳髄に強烈に染み渡り、(このままでは寝てしまう……)というところでまさかのデザート、山本さんのザックからスイカ一玉が現れ、一同大いに沸いた。
沢の定番、素麺で締めて床に就く。夜半近く、ふと目を覚ますとタープの端から満天の星空がのぞいていた。
翌朝は誰ともなく4:00に起床。火をおこし直して米を炊く。朝飯はカレーである。普段の山では、朝は手間暇のかからない麺類で済ますことが多いが、今回のこの賑々しさにインスタントラーメンは似合わない……すなわち、カレーである。
予定より1時間半過ぎて7:30、出発。すっかり日も昇り、朝の冷水もそこまで苦ではない。苦ではないが……
朝っぱらから釜にダイブし、雄叫びをあげる吉川さん・豊田さん。マジかこいつら……若い力が眩いばかりである。
幾つかの滑滝を越え、今日の見せ場の一つ、C580mのF2・10mが現れる。クライマーの鷲頭さんがロープを引いてフリーで登る。
後続はゴボウやトップロープで各々自由に登る。ホールドもスタンスも豊富だが、高度感はあるので真剣である。しかしやはり皆さん常からクライミングに力を入れているだけあって、ロープの扱いが大変スムーズですばらしい。
その後巨岩帯を抜け、F3を大高巻きし、白砂の沢形を進んで12:30、ようやく硫黄平に到着。
いやー着いた着いた。イダシュベツ川はこの硫黄平でいきなりドカンと景色が広がるギャップがいい。朝ご飯の残りでつくった握り飯に味噌を塗ってほおばり、休憩する。
小腹を満たして落ち着いたところで行程を見直す。カムイワッカ発の最終バスが16:30、現在時刻は13:00。果たしてここから3時間半で下山できるか……どう見ても間に合わない。というわけで計画を変更し、岩尾別登山口へ下山することにする。マイカー規制期間中でバスを逃せば徒歩しかないカムイワッカへ降りるよりは、車が入れてピックアップ可能な岩尾別登山口のほうがまだマシであろう。
まるで枯山水の庭園めいた硫黄平の南端を1329m峰に向かって進む。この小峰の尾根から登山道へ詰め上がる。登山道に出てしまえば、もはや高速道路に乗ったも同然である。沢装備を外し、羅臼岳方面へ向かって縦走路をひた走る。
縦走路は雲海の上に浮かんでいた。なんかエスケープルートと言いながら、内容的には本来予定のルートより豪華なような気がしないでもない。しかし4.5hで下山予定が7.5hに伸びてしまい、皆さん疲労が大分アレかなあと思ったものの
全然頼もしい面構えである。後ろから見ていて谷口さんが大分やられているように見えたが、あれ、なんかめっちゃ余裕ある……。
サシルイ岳山頂で携帯が通じ、鷲頭さんがゆうきさん(奥さん)に連絡、岩尾別登山口までの迎えと車の回収を依頼する。もはや網走方面に足を向けて寝られない……羅臼平からは、いまだ体力・足腰が有り余っている鷲頭さんと吉川さんが先行して降り、車の手配に向かった。
残った5人はというと、羅臼平で雲海を眺めていた。急ぐ気皆無すぎる……と思いつつ、あまりに綺麗な光景に見とれてしまった。オホーツク海高気圧が頑張るとこんな感じで山だけ雲海の上に出ることが多いらしい。
弥三吉水付近ですっかり暗くなり、ヘッデンを出して下山。夜間行動ってなんかすごい久々にした気がするなあ……。20時過ぎ、ようやく岩尾別登山口に下山完了。車を駐めてある知床自然センターへ戻り、解散前に記念写真を撮影。今回スイカを担ぎ上げてくれた山本さんに敬意を表し、武藤敬司のプロレスLOVEポーズで撮りました(学生の皆さんに若干戸惑いの表情が見られる)。
フィナーレを飾るにふさわしい酷い絵面である。色々ありましたが8月会山行、無事終了です。